空気を読まないブログ

筆者、中杜カズサが思いついたことをつらつらと垂れ流すように。 日記のようなニュースのような。
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 なんか最近アニメ第2期が開始されたとか、実写映画が9月に上映されるとかで、なんかマンガ読者やアニメファンだけではなく一般の人々にも知名度が高くなっているっぽい『ハチミツとクローバー』ですが、先日最新刊の9巻が発売されました。

ハチミツとクローバー 9 (9)ハチミツとクローバー 9 (9)
羽海野 チカ


 
 アニメ第一期でやっているのが1〜7巻、第2期が8巻からだったので、この部分もアニメ化される可能性が高いです。

 さて、以下はネタバレバリバリなので、追記モードで書きます。





 今回の巻では、恋愛関係での明るさやもどかしさが展開される全巻までの展開から一変し、重い話が連なります。
 今までも花本先生やエリさんの原田死去に伴う重い話はありましたが、今回のはそれを上回る重さではないかと。その中心は森田兄弟と、はぐみです。(竹本、山田ははぐみの話で動きますが、真山はほとんどでてこなかったなあ)

 具体的には大きくふたつ、『森田(森田兄弟)が金に固執した理由とされる目的』『はぐみが手に大怪我をしてしまい、思うように動かせなくなってしまった話』です。しかもそれぞれにもまた重い背景が突き刺さります。

 はぐみサイド(57〜60話)ではこんな感じ。
 ・卒業後の進路について、思うはぐみ。
 ・いつまでもいっしょにいてほしいが、自分の人生にいつまでもつきあわせられないと、それを花本先生に言えないはぐみ
 ・手を怪我をして、もし制作することができなくなったらと思う恐怖が襲う。
 ・父に再婚相手が出来(?)、帰るところをなくしてしまった。

 ものの作り手にとっての手段を無くすかもしれないという、おそらく最大級の不幸が襲ってきているのでそれは絶対に重い話になるでしょう。
 あとはいつも通り、真山に片思いしていたり、怪我した友人を気遣う山田、愛する人のピンチを見て、悩む竹本といった感じですね。
 ここでちょっと思ったこと。最後の森田のはぐみに対する「もう描かなくていい」は是か非か、めぐみとってすごく難しいところですな。とはいえ森田にはそう言うしかなかったのでしょうが。(思考がねじまがっててすまんです)

 さて、はぐみサイドのほうはまだ途中ですので、今後の展開でどうなるかはわからないのですが、次巻あたりで直りそうな気もしますのでそれほど重くはなかったのですが、一番重かったのは森田兄弟サイド(54〜58話)です。

 あらすじを書いてみるとこんなところです。(見た方はとばしてOK)
__________________

 森田兄弟の父親、司は優秀な技術者で独立会社を営んでいました。そこで森田兄弟は幸せに暮らしていたが、兄弟にとってもよきおじさんであった、司の親友で共同経営者ある根岸達夫の手引きによって、海外の会社に乗っ取られてしまう。
 しかし、その行為には理由があり、根岸はすでにこの時点でフジの病気を抱えていました。しかし家にはボケた母親がいて自分が死んだ後のために金が必要だった。
 さらに、根岸は小さい頃から天才の森田父に劣等感を抱き、愛する人(忍たちの母)まで森田にとられてしまった。それ故、この天才が自分と同じ人間か、全く違う人間かを見極めたいがため、絶望(会社乗っ取り)を仕掛けた。しかし、それでも司はいつもの司のままであったことを知った根岸はそのまま眠るように倒れる。
 しかし、倒れた根岸に対して、乗っ取りをした会社は金を払う契約を反故にする。病院のベッドで無気力になる根岸とその前にいる森田親子。「コイツを呪うのも恨むのも俺の役目だ」「おまえらは前に進め」と言う森田父。
 しかし、森田兄弟は金を集めることでかつて自分たちの居場所を奪った乗っ取り先の会社を乗っ取ろうとする。(=これが森田兄弟が金に固執した理由)しかしそれは「前に進め」と言った父の言いつけを破ることだった。それは兄、カオルが暗闇に進んでも復讐することを選んだため。
 それは兄も才能を持つ忍に対して、かつて父司に対して根岸が抱いたような劣等感を持っていたため、自分は前、光の方向に進めないと悟ってしまったから。兄を慕う忍はそんな兄を止められずに、会社の乗っ取りに力を貸してしまう。
 乗っ取りをした社長の会社の株を買い占め、内部に残っていた元社員松田の協力などもあり奪いかえしに成功する。
 しかし、それは今度はその社長をかつての自分たちと同じように路頭に迷わせる行為にほかならなかった。
 兄を光の差す前に進められなかったことを悔やむ忍。
 そして想像力を持ち、優しさのある兄にとってもこれらの行為は耐えられないものであり、その翌日姿を消して公園をさまよう…

__________________

 さて、かなり長くなりましたが、忍や兄カオルだけではなく、関連する人物について相当重い話です。失脚させられた乗っ取り先の社長は自業自得な面もありますが、根岸達夫はあまりにもかわいそうです。
 ちなみに、カオルも根岸達夫も記憶力に優れ、天才型ではなくても経営的には相当有能な人物です。ですから端から見れば嫉妬する必要なんて全くなかったのに、というのがまた悲しいところです。

 で、描かれていませんがいくつか思ったことがあります。それは「森田父はあまりいい形で死んでなさそう」ということ。
 何故ここまでして森田兄弟は復讐を試みたのかというのをちょっと疑問に思いました。買収だけなら会社を乗っ取るまでもなく買い戻せばいいわけで、乗っ取った社長の元会社ごと奪い取った理由とは?
 復讐というのはかなり精神力がいります。ましてや数十億も金を手に入れて成功している人間ならなおさら。
 まあ、描かれているようにカオルが忍と父への劣等感故に、暗いところに突き進もうとしたからとも考えられますが、それでもよほどの恨みがなければそこまで自分を苛む行為に及ぶとは考えにくいので。(根岸も自分の死が近いことや残された母がいなければ、あのような行為には及ばなかったと思います)
 おそらく金がない中で苦労して亡くなってしまったのかと。

 あともうひとつ、根岸達夫の経緯をおそらく全員が知っているのかなということ。
 会社を取り戻すシーンで、乗っ取り先の会社で耐えて内部に残っていた元社員の松田さんが乗っ取りを抗議する社長に向かって「家族はいました みんなにいたんです」「私にも 達夫にも 司にも」と言っていますし。
 おそらく持っていたコンプレックスはカオル以外にはわからなかったでしょうが、「そうしなければいけなかった理由」、すなわり母のために残す金が必要ということは伝わったのでしょう。
 同時に、それを裏切った乗っ取り会社にかかる恨みは倍増するわけで、それが松田を的の会社の元で長年苦労しながらも勤めさせる原動力となったのかもしれません。
 
 あと、松田の持っていた写真から推測できること、あの「家族」という言葉を社員仲間だとすると、おそらくほとんどの社員は会社にとどまらず、散り散りになってしまったのかなと思われます。(それも松田の復讐原動力でしょう)

  まあ本編の方も収束に向かっていますし、おそらく今後、この森田兄弟の話が書かれることはなさそうなので今のうちに書いてみました。
 さて、私は単行本のみなので今度読めるのはだいぶ先っぽいですが、楽しみに待つことにします。


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